「Cマガジン」のベクトル量子化についての記事2000/7に、特集3としてあるのですが、気にさわる点が多いので、最初の方だけ書いておきます。 60ページに、「一方、ベクトル量子化は存在するベクトルの一覧表(「コードブック」と呼ぶ)を作り情報を表の添え字に変換するのでこのような無駄を省けます。」と書いてあります。 61ページにも「ベクトル表が必須となることに関しては、それゆえにベクトル量子化はスカラー量子化よりも高い符号化効率を」などとも。 スカラー量子化とベクトル量子化の差は、軸毎に独立に量子化が行われているかそうでないかの差であって、コードブックの要不要とは関係ありません。スカラー量子化と均等分割の組み合わせと、ベクトル量子化と適応的な分割という組み合わせが多いとは言えますが、JPEGでDCT変換した後に、スカラー量子化を行う場面を、適応的量子化に変更することで画質を改善するという提案があります。この場合、スカラー量子化でも、デコードのために表のデータが必要です。また、ベクトル量子化圧縮にもコードブックが固定のものがあり、この場合コードブック部分はプログラムにあるので、データとして送らずに済みます。つまり、スカラー量子化とベクトル量子化の差は、コードブックの要不要とは本来別の事柄です。
62ページには、「再帰分割」というアルゴリズムが出てくるのですが、2のベキ乗にしか分割でいないという妙な制限付きのアルゴリズムです。誤差の二乗和の最小化ではなく、「誤差の最小化」と言っているあたりも、妙です。なおかつ、63ページには、「(メディアンカット)」と補足が付けてあります。ヘックバート氏に悪いと思います。
間違いに気づいて書き始めると、実はもっとひどい間違いが潜んでいるという感じでキリがありません。本を読んだが理解が不足していて、妙なことをやって、どれもうまくいかず、おかげで、いろんな実装法を試すことになったという話にしか思えません。改良と言っている部分も、定番をきちんと実装できていない上で、苦し紛れなことをやってみたという話で、必然性が感じられません。 でもって、最後の方にはソフトウェア特許に反対するとなっているのですが、他方、著作権によって、発案者として技術の使用を許諾する権限を持つということになっています。すでに公開されている出願であっても認可されていなければ、後から原稿にすれば、特許の認可を禁止できる程著作権には強烈な権限があると理解している人みたいです。出願しても、既知で特許にならないという心配をせずに、無限の拡大解釈でもって著作権侵害だと騒ぎ立てる予定なのではないかと疑ってしまいます。
一時買わなくなっていたのを、pngを推進していたのでまた買うようになった「Cマガジン」ですが、ト学会会員でもないので、もう買うのをやめることにします。同じくベクトル量子化圧縮を扱っていた「bit」とのあまりにも大きな差です。
2004/01/26更新 |
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